中根歯科

 

お子さんをむし歯にさせない。

  お子さんが「むし歯になっています。歯がきれいに磨けていません。」と言う話をお母さん
(もちろん,お父さん,おじいちゃん,おばあちゃんのこともあります)にしますと,
半数のお母さんはお子さんの顔を見ながら,「ほら,ちゃんと磨かないから。お菓子ばかり食べるから。」
とお子さんのせいにして叱ります。お母さんの心理は良くわかりますが,きちんと歯を磨かない事も
お菓子が多ことも,知っていたはずです。良くないかもしれないと思いつつ今日に至って,
ついに指摘されてしまいました。お子さんをむし歯にしたいと思う親はいないでしょうが,
むし歯にしないための気遣いが足りない親がいることも事実です。
  結論から言うと,
1 「甘いものの味は教えない,食べさせない。」   チョコレートや飴等は,親が与えるから子供が覚えます。
        与えなければ知りません。できれば7歳までは頑張ってください。
2 「食べることと歯磨きはワンセット。」     うんちをしたらお尻を拭きます。拭き終わるまで親も子も
        次の行動はありません。食事とおやつの後は歯磨きへ直行しましょう。
3 「親が手本を見せる。」      お子さんに「甘いものを食べるな,歯を磨け」と言っていても,
       親が実行しなければ無意味です。「子供の前では甘いものを食べない」,「親もすぐ歯を磨く」という事です。

  実は甘いものが好きでない人でもむし歯はできます。でも甘いものを良く食べる人の方がずっと,
ずっとむし歯になりやすい。また,甘いものを良く食べる人でもきちんと歯を磨く人はむし歯ができにくい。
むし歯はお口の中に住み着いている菌によって起こります。むし歯菌は糖を分解して酸を作ります。
糖がお口に入ると数分で歯の表面はミクロレベルで溶け出します。通常は糖がなくなると唾液の働きで
溶けた分だけ修復されます。でも,ずっと糖が残っていると歯の表面は溶け出す一方です,修復できません。
たとえチョコレートなど食べても早い時期に歯磨きすればお口に残りません。反対にキャンディーなど
20分も30分も舐めるのは最も良くありません。
  むし歯菌はむし歯の人はもちろんですが,もそうでない人もみんな持っています。では,どうしてむし歯の人
そうでない人と別れるのでしょう。それはお口の中の環境です。むし歯菌にとって住みよい環境では
活発に活動してむし歯を作ります。では,その住みよい環境とは?むし歯菌の住み家となる歯垢がいっぱいの
お口。むし歯菌のエサとなる糖がいっぱい残っているお口。これらは丁寧に歯磨きすれば取れます。
さらに糖は食べ物に気を付けていれば制限できます。
 ところでむし歯がむし歯菌で起こるなら,むし歯菌を無くすればいいとお考えでしょう。でも,困ったことに
この菌は口腔内常在菌といって口の中に住み着いていて,あなたが通常の生活をしていれば無くする事は
できません(たとえば無菌室で生活するなら可能かもしれません)。
  では,この菌はどこからお口の中にやってくるのでしょうか。赤ちゃんはお母さんのおなか(子宮)の中にいる
間は基本的に無菌状態です。生まれ出る時に,産道を通る時に初めて菌がつきます。
母乳自体はもちろん無菌ですが,お母さんの乳首には皮膚の常在菌が住んでいます。赤ちゃんには
この様にして少しずつ通常は無害の菌が住み着き始めます。生後6ヶ月ごろから赤ちゃんに歯が生え始めます。
実はこの頃からお母さん(あるいは世話をする大人)からむし歯菌が定着します。お母さんがお口で
やわらかくした物を,赤ちゃんに食べさせていませんか。離乳食のスプーンをお母さんが舐めていませんか。
同一家庭で育つ以上必ず親の菌(口腔内,皮膚常在菌)は子に移ります。でも,生え始めの歯は表面が
侵されやすいのでできるだけむし歯菌の感染を遅い時期に先送りしたいものです。